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ここは拍手返信や更新や小話が中心の女性向け二次創作ブログです。
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BOD

いかに変態ことビトロを落とすか、それが問題だ。
どうも、実家に帰った途端に花粉に悩まされている天木です。
スギ花粉はお願いだから滅んでくれ。
明後日から兄のいる新潟にちょっくら行って来ます。
ので、今のうちに小話を書き置いておきます。


アルビトロは一目見たときからその女が気に入らなかった。
艶やかな銀の髪――おぞましいことに可愛がっている狗と同じ色だ。
アイスブルーの切れ長の瞳――目が合った瞬間ぞっとした。
すべらかな白磁の頬――何と気色の悪いことか。
手に持った一振りの日本刀――あの男を髣髴とさせる。
何よりもアレは女だ。
耳障りに喚き散らし感情的に振舞う、理性や優雅さを欠片も持たない生き物。
アルビトロは女を嫌悪し、少年を愛している。
それは慈愛であり、あるいは敬愛である。
彼らは健全であり美しく儚い、まるで夏の夜の夢のような存在だ。
そんな崇高な生き物をより己が手で高尚な生き物へと昇華させる。
それこそが彼の生きがいでありすべてであった。
故に彼は否定する。
例え一瞬、ほんの一時であろうとも、彼女に目を奪われたことを。
絶対の強者であるその青に惹かれそうになったことを。
彼はその理念の下に認めることを許さない。

アルビトロの声に振り向くことなく部屋を後にしたバローダは、石膏の少年像で飾られたおよそ趣味がよいとは言えない廊下を一人歩いていた。
仮面を被った男たちの視線を気にすることなく道の真ん中を堂々と歩く。
その余りにも堂に入った姿に、男たちはアルビトロの客だろうと勝手に思い込んで彼女を呼び止めることも咎めることもしない。
実際、彼女はアルビトロに招かれた客であった。
男であれば彼らも捕まえようとしたろうが、バローダは正真正銘女性である。
特殊な性癖の主人が女に固執するとは到底考えられない。
しかし当然のことながらそのように考えない人間もいる。
「あっれぇ~、こぉーんなところでなーにしてんのかなぁ~?」
「嬢ちゃんはさァ、ビトロの客だろ?」
廊下を抜けて広い玄関ホールに出たバローダの正面を二人の大柄な男が陣取っていた。
刺青の入った素肌にピンクのパーカーを羽織り、手には凶悪な鉤爪がギラギラと輝いてる。
長い金の前髪から目元を窺うことは難しいが、その口元のように弧を描いているのだろう。
その隣の男はがっしりとした体格で金髪の男よりも一層身長が高い。
じゃらじゃらとドッグタグをぶら下げた鉄パイプの先端は黒く汚れているが、それが何かは想像頑なにない。
短く刈った黒髪とぎらつく瞳、にいっと笑んだ唇からは鋭い犬歯が覗いている。
「退け、帰る」
一方的ながら用件は疾うに済んでいる。
ならば帰っても構うまい。
バローダの相手を切り捨てるような言い草に二人は目を丸くし、続いて大声で笑った。
ケタケタと高らかに声を上げて。
「うっわ、今のシキティみたいじゃね? ジジ、あれシキティ二号じゃね?」
「そうだなァ、日本刀持ってっしなァ……」
ニヤニヤと厭らしい笑みを浮かべた二人がそれぞれ自分の獲物を構える。
この世界の人間は血の気が多いと、バローダは呆れる代わりに目を細めた。
典型的な戦闘狂、この二人を表すならばその言葉に尽きるだろう。
芬々たる血と臓物の臭いが鼻につく。
シキティ、日本刀――おそらくあのシキという黒尽くめの男のことだろう。
意外なところで縁は繋がっているらしい。
そういえばあいつも戦闘狂かと、バローダは思い出しながら不機嫌そうに鼻で笑った。
「そしたらさぁ……シキティみてぇにつえーかもしんねーなぁ!」
先に仕掛けてきたのは金髪の男だった。
勢いをつけて飛ぶ。
その後ろから黒髪の男も鉄パイプを携えて駆けるのが見えた。
「らっしゃーーーー!!」
体重の乗った鉤爪の一撃を閻魔刀の鞘で払う。
空中で体勢を整えようとする男の腕をバローダは片手で掴んだ。
「おおっ!?」
自分よりも長身の男の体重などものともせず、男を掴んだ腕を後ろに引いて、正面に投げつけた。
技巧も何もない、単純な力技。
「ッチ!」
金髪の男は弾丸のように飛び、もう一人の男が避ける間もなく衝突する。
受け止めるでもなく払いのけようとしたのだろう。
しかし成人男性の体重が避けられないような速度で飛んできたのだ。
当然威力も大きい。
男はよろめき後ろに下がる。
背後にあった少年像が、男がぶつかった衝撃でぐらぐらと揺れた。
「ピヨ、どけや」
「……っせーなぁ、ジジィは黙ってろや」
金髪の男が頭を振りながら立ち上がる。
バローダは一歩も動かずにそこにいた。
余裕ではない、逃げられなかったわけでもない。
逃げる必要がない。
気まぐれのようなものだった。
――追いかけられるのは面倒だから、今の内に叩いておこう。
対峙したその身に刻み付ける。
追うことの無意味さを、恐怖を、絶対的な強者の存在を。
閻魔刀を抜くまでもない。
可愛い従者を無意味に血で染めるのは趣味ではないし、抜いてしまったらきっと二人を殺してしまうだろう。
異世界での殺人は望ましいことではない。
「少し遊んでやろう」
バローダは閻魔刀を鞘ごと腰のベルトに引っ掛け、半身を引いた。
構えた腕、突き出した指の先で二人を手招く。
あからさま過ぎる挑発。
だが男たちは愉しげに笑った。
「遊んでくれるってさァ……」
「いーね! 思いっきりあそぼーぜぇ!!」
ひゃひゃひゃと哄笑が耳に痛い。
鉄パイプで軽く肩を叩いていた男が犬歯も剥き出しに獰猛に笑う。
戦いに飢えた獣が二匹。
今度は黒髪の男が先駆けた。
掬い上げるような鉄パイプの一撃。
顎を狙ってきたそれにバローダは僅かに顔をそらす。
勢いを持った鉄の塊が顎先を掠めるが意に介せず、がら空きの男の腹に足を伸ばす。
が、つま先が男の腹部に突き刺さる前にバローダが一歩下がった。
下がった足を軸にくるりと優雅に回る。
「げっ」
背後には金髪の男。
回った勢いのまま足で迫り来る獣の爪を弾く。
空を切る鈍い音。
しゃがんで避ければ頭部があった場所を鉄パイプが通り過ぎる。
「っぶねーな! クソジジィ!!」
「黙ってろや……」
しゃがんだ体勢からバローダは跳んだ。
金髪の男の胸を蹴って勢いをつける。
仰け反った男の顎をつま先で蹴り上げ、その足で背後の男の頭を狙う。
手応えはあった。
が、狙いは少しずれて当たったのは肩だった。
反撃される前に肩に引っかかった足を引き寄せ、もう片方の足を腹に叩き込む。
鋭いヒールが今度は寸分違わず鳩尾に入った。
肩に掛けていた足を外し蹴った反動でくるりと宙へ舞う。
顎も鳩尾も、人間の急所。
すぐには立ち上がれまい。
着地したのは元より彼女がいた場所。
バローダはその場から一歩たりとも動くことなく、二匹の獣との戯れを終えた。

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