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ここは拍手返信や更新や小話が中心の女性向け二次創作ブログです。
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(・ω・`Ξ´・ω・)   ヨシ、ダレモイナイナ
|桃|o・o.
| ̄|―u'
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|_|(´・ω・`)
|桃|o  ヾ
| ̄|―u′ ・駄文
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|_|  ピャッ!
|桃|ミ
| ̄|   ・
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噎せ返るほど濃密な血と硝煙の仄甘い匂い。
酸化し、すでに黒く変色した床。
禍々しい魔力の残滓が未だ漂っている。
弾痕と刃物で斬りつけられた跡が色濃く残るそこには、ただ静寂と死だけが横たわっていた。
抜き身の日本刀を片手に階段を登りきったネロは、目の前の光景に言葉もなく、静かに足を止めた。
スカイブルーの瞳がこれ以上ないほどに見開かれ、残酷な現実を映し出す。
震える唇が縋るようにその人を呼んだ。
「かあ、さん……?」
その人は打ち捨てられた人形のように床に全身を投げ出していた。
ネロは震える足を叱咤しながら地に伏すその人に近寄る。
一歩近づくごとに鉄錆を含んだ生臭い匂いが増す。
しなやかな肢体を包む黒い服は元より、深い青のベストまでも黒く染まっている。
結わえている長い銀の髪も解け、べったりと赤黒いモノを吸い上げて固まっていた。
白銀の長い睫毛に縁取られたアイスブルーは白濁し、何もない宙を見上げている。
魂が既に旅立ったそれは、死体という名の抜け殻だった。
ネロの手に握られた日本刀が寂しげに一度だけ青く瞬く。
「母さん……」
二度目の呼びかけは虚ろだった。
答える人はもういない。
ネロは何か言いたげに唇を開いたが、物言わぬモノと化した母に、下唇を強く噛み締めた。
しゃがみこんで母であったものに触れる。
冷たく硬い感触。
唇から頬にかけて黒く血がこびりついているのを、ハンカチなど持ち歩かないネロはジャケットの袖で拭う。
いささか乱暴ではあったが、固まった血は容易に剥がれ、すぐに白い肌が現れた。
艶やかな赤い唇は、血の通わない今は紫色に変色している。
ふくよかな胸の谷間の僅かに左側に傾いたところに、錆付いた短剣のようなものが刺さっていた。
ネロは躊躇うことなくそれを抜き去り、床に放り投げる。
思ったよりも力が入ってたらしく、短剣はカランカランと軽い音を立てて幾度か跳ね、石畳の床を転がってネロの視界の外へと消えた。
貫くものが消えても、心臓を穿つ傷は再生する気配を見せない。
「……っくそ!!」
悪魔の右腕で床を力一杯殴る。
もっと早くに来ていれば、大聖堂でダンテを逃がさなければ、あの夜出会わなければ。
後悔は尽きずネロの中で湧き上がる。
過去を変えることはできない。
既に死神は望みのまま、母の命を刈り取った。
「お前、やっぱり閻魔刀なんだろ?」
ネロは日本刀に話しかける。
傍から見れば異様な光景だが、少年は刀の形をしたそれが悪魔であると知っていた。
「母さんを殺したのは、ダンテか……?」
刀は何も答えない。
光ることもなければ、意思を伝えることもない。
只の刀のように、光を反射して輝くだけだった。
「答えろよ! 答えろ!!」
刀を前に、ネロは苛立ったように言葉を荒らげる。
依然として答えは返ってこない。
遂には項垂れ、刀の前に膝を折った。
「頼むから、答えてくれ……!」
魔具は使い手を選ぶ。
閻魔刀はバローダを己が主と定めた。
そして彼は主を喪い、死した主の体を損なわせる一端を担った。
誇り高き悪魔がそれを許せるだろうか。
今ネロの手の中に納まっているのは、主が望んだ最期の願いだったからに過ぎない。
主亡き今言葉を紡ぐ資格を持たず、主でない未熟なネロは彼に語らせる資格を持たない。
例えネロが懇願しようとも、閻魔刀は意思を閉ざし沈黙することを選んだ。
何も答えない刀をネロは床に突き刺し、母の手を取る。
胸の上で組ませようとした時、左の手首から先が欠損していることに初めて気づいた。
ネロは迷いながらも、左手の上に右手を被せ、手を重ね合わせたように見えるようにした。
瞼を指で下げて白く濁った瞳が見えなくなると、まるでまどろんでいるだけのように見える。
だが彼女は目覚めない。
目覚めることはないのだ。
永久に。
「主よ」
ネロは魂なき母の横で跪き手を組んで目を閉じた。
唇から零れるのはいつか聞いた祈りの言葉。
その日は雨が降っていた。
「永遠の安息をかれに与えたまえ」
黒いドレスを纏った婦人が静々と歩く後ろに、暗い表情をした男たちが並んでいた。
先頭には司祭が立ち、聖書を抱えていた。
魔剣教団とは違う宗教の葬儀をネロが見たのは、それが最初で最後だった。
「絶えざる光をかれの上に照らし給え」
祈りの言葉を教えてくれたのはその司祭だった。
早く仕事が終わった日だったので、少しだけ話を聞いた。
ネロは魔剣教団の教徒とはいえ、熱心ではなかったので、他の宗教の話を聞くことに抵抗はなかった。
「かれの安らかに憩わんことを」
家に帰り母にその話をすると、その宗教の教典を出した。
母の母、ネロにとっての祖母はその宗教の教徒だったという。
母はといえば、神を信じてなどいないと笑った。
ネロの知る死者に捧げる祈りの言葉は魔剣教団のものと、その宗教のものだが、母には祖母の信じた宗教の方がふさわしく思えた。
「Amen」
ネロは十字を切る。
祈りは死者の為のものではなく、残された生者のためのものだという。
この祈りも母の魂が安寧であるようにと願う自分の為のものなのだと、ネロはわかっていた。
ああ、けれども、苦しみながら独りで自分を育てた彼女の死後がせめて安らかであるように願わずにはいられないのだ。
歪む視界を振り払い、ネロは立ち上がる。
「行って来ます、母さん」
いつも背にかけられた「いってらっしゃい」の声はもう聞こえない。



シリアス楽しいです。
閻魔刀は喋りません。
ネロがまだ未熟で、自分で選んだ主ではないから。
姉さまの場合は声が聞こえたから主となったのですが、ネロの場合は主と認められるだけの相応しい技量を見せないと声を聞かせてもらえません。
デビルトリガー引かないでも幻影剣出せるようになったら、きっと閻魔刀だって主と認めてくれるよ。
ダンテが閻魔刀と喋ってることがあるのは、姉さまが存命+一緒に住んでる時(仲違いしていない時)のみです。
姉さまは十代の時点で閻魔刀とどれだけ離れても声が聞こえます。
ダンテは上記の設定で閻魔刀が意識して伝えようとしてる言葉を5m範囲内ぐらいなら。
ネロもダンテと同じくらいです。
サイトの閻魔刀の設定がどんどん増えてゆくwww
日本刀が好きすぎるのがいけないんですねわかります。

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