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IF連載が欝なだけこっちはほのぼのですよ!
多分続きます。
「カットーーー! お疲れ様でーす!!」
監督の声で向かい合っていた一組の男女は手に持っていた武器を下ろした。
毅然としていた女の相貌が柔らかく崩れる。
「お疲れ様です、ダンテさん」
共演者であるベテランの男に頭を下げた。
結われた長い髪がいかにも重たげに揺れる。
「いや、バローダちゃんの方が大変でしょ。特にその刀」
そう言ってダンテと呼ばれた陽気そうな男が指したのは彼女が持っている長い日本刀だ。
真剣ではないとはいえ、金属製で長さのあるそれは女性が持つには少々重量がある。
このドラマを撮り始めた頃は、殺陣のシーンで刀の重さに振り回された彼女がNGを出すこともあったほどだ。
「いえいえ、それを言ったらダンテさんなんか銃が二挺におっきな剣まで持ってるじゃないですか~」
男が背負う剣と腰の銃を指してバローダは朗らかに笑った。
「まあ慣れだよ、俺の場合」
「私だっていい加減慣れましたよぅ」
このドラマが始まっておよそ一年、元はゲームというアクション性が受けたのか近親相姦という背徳感が受けたのか、人気を博したお陰で2クール目もそろそろ終了、3クール目も放送が決まっている。
「あ、兄ちゃん!」
役柄の殺伐さとは打って変わって、ほのぼのと話していた二人の主役に少年が駆け寄る。
瞳を輝かせて走ってくる様子はどことなく子犬を髣髴とさせる。
ダンテとバローダの目には、彼の首に掛かったヘッドフォンが首輪のように見えた。
「次、俺たちだって!」
「そーかそーか」
わしわしと頭を撫でる手を少年は嬉しそうに受け入れる。
尊敬する実の兄とのスキンシップに目を細める様子はやはり犬のようだ。
微笑ましげに見ているバローダの視線に気づくなり、少年は顔を赤くしてダンテの手から離れた。
「えっと、バローダさん、その、失礼しました」
「いえいえ、ネロ君も頑張ってくださいね」
親子ほど年の離れた兄弟だが、仲が良いというのはよいことだ。
一人っ子のバローダは二人を見るたびに兄弟というものが羨ましくなる。
「じゃあ、また次のシーンで」
「はい」
手を振って大聖堂のセットに向かう二人の背中に笑いかける。
あんなに仲の良い兄弟が一度役に入ると銃を乱射しながら斬り合うのだから不思議なものだ。
そんなことを考えながら、バローダは次のシーンの為に台本に視線を向けた。
当然エイプリルですがね!
続きませんよ!
今年は二段構えです。
騙されてくれた方はいらっしゃるかしらん?