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ここは拍手返信や更新や小話が中心の女性向け二次創作ブログです。
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http://www.famitsu.com/news/201112/08006333.html
アーチャー……。
込み上げる衝動のまま姉さまにつっこませてみた。
若干メタ発言あり。


新しく発売されたゲーム情報雑誌のとあるページを開いたまま、打ちひしがれるバローダを誰が責められようか。
その正面に正座させられた赤のサーヴァントが居心地悪そうに顔を背ける。
「何故だ……」
ぽつりと言葉が零れ落ちた。
堪え切れない衝動をぶつけるように、細い腕が畳を殴りつける。
「何故私の弟はみんな裸ジャケットに走るんだ! そんなに胸板を他人に見せつけたいのか!? 貴様らは露出狂か!!?」
「一応言わせてもらうが……」
言い訳がましく聞こえることを承知の上で、アーチャーは言葉をかける。
「あれは別に私が望んで選んだわけではなくてだな」
「でも着たんだろう? 上半身裸の上に赤のレザージャケット着たんだろう?」
失意の内にある彼女には義弟の言い分など通る筈がない。
あまりにも非情な現実をただ突きつけるのみだ。
己にも義弟にもダメージを与えることだとわかっていながらも、彼女の口は堰を切ったかのように止まらない。
「『インナーを脱いでしまっても構わんのだろう?』ってか? 理解できない、私には理解できない。男はそういうのが着てみたいとか思うのか? 裸ジャケットとか裸コートが流行なのか? ……私の育て方の問題かな…………」
本気で落ち込み始めた義姉にアーチャーは慌てる。
背負うオーラが暗く淀んでいる。
氷の瞳は虚ろに濁っていた。
「私の育て方が悪かったのか? やっぱり親なしで子供を育てようとしたのが駄目なのか? 精一杯、やったんだけどなぁ……。努力が必ずしも報われるとは限らないものな、異性だしフォローできない所もきっとあったよな、うん、すまなかったアーチャー」
なんだか凄くシリアスな流れになっている。
アーチャーが否定しようとするも、もう遅い。
衣装発表の時点で既に結末は決まっていたのだ。
「私に至らない所があったんだろう? それを素直に言いだせなくて鬱屈してたんだよな? 士郎は優しい子だものな」
虚ろな瞳からぽろりと透明な雫が零れ落ちる。
生前を含めても希少すぎる義姉の涙に、アーチャーはこれ以上なく慌てると同時に、原因を慮って虚しさを感じた。
「すまない、情けないな私は」
指で零れる涙をぬぐいながら彼女は微笑んだ。
無理やり取り繕っているのがわかる、痛々しい笑みだった。
叱られると思っていたのに、目の前で自己完結された挙句謝られてしまった。
これならまだ怒鳴られたり感情的に怒ってくれた方がやりやすい。
「いや、その……」
「いいんだ、アーチャー。思えば私は元の世界に帰ることに執着し過ぎて、士郎を顧みることも少なかっただろう。それなのにお前は文句一つなく待っていてくれた。そんなお前に衣装一つでぐだぐだ言う資格は私にはなかったんだ」
訂正も言い訳も許されない。
只管に奇妙な罪悪感に身を焦がされることしかアーチャーには許されていないのだと、彼は気付いてしまった。
「大丈夫だアーチャー、どんな服を着ていようと、お前が私の弟であることには変わりない。それがすべてだ」
背景が朝焼けだったらそのまま空気に溶けて消えてしまいそうな、優しすぎる笑みが胸を抉る。
それだけ聞けば嬉しいはずの言葉が、それまでの過程のせいでアーチャーには悲痛な諦観と許容にしか聞こえない。
「たとえお前が原作者の菌糸類からさえもガチっぽいと言われようと、私は受け入れるさ」
「そこは拒絶してくれ!」
かなり本気の叫びを生温い笑みが受け止める。
そこに歴戦の戦士としての誇りなどなく、ただ義姉の誤解を解くための声だった。
だが彼女にはもう、そんなものは届かない。
諦め、受け入れてしまった彼女はアーチャーの言葉を受け入れることはないだろう。
何せ裸ジャケットを着ていたのは事実であり、彼がまだ学生であった時分に彼女が彼を一人置いて海外を飛び回っていたのも事実。
突飛な行動に走ればまず家庭環境を疑うのは自然なことで、まして似た例が身近にあるとなると、二つの共通点である自分の存在が原因だと思ってしまうのは当然の流れだった。
そしてそれは既に事実として彼女の中に根深く植えつけられている。
全てが事実である以上、訂正の余地はない。
こうして誰も幸せになれない話し合いは、救いようのないまま虚しく終わった。



いや、やっぱやっておかなきゃなーと。
半裸だし赤ジャケだしレザーだし、誰かさんを彷彿とさせるじゃないですか。

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