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ダンテと姉さまでいい夫婦の日? ちょっと私にはわからないな……。
となりまして、姉さんの日はないので兄さんの日で。
あれです、姉さまが兄さんで、ダンテが女の子だったらです。
つまり姉弟が性別反転して兄妹だったら、みたいなの。
兄さんがハーレム形成してそうな気がします。
それだと多分ネロも女の子?
いや、あえての男の子でもいい。
兄さんの場合は、ネロは行きずりの娼婦の子で、テメンニグル建築には兄さんは関わらないと思います。
妹(と書いて馬鹿の子)、大事!
まあ今回は兄妹だけですけどね、出るの。
兄さんの名前はバージルで。
ある意味バジダン(♀)?
ダンテの兄であるバージルの最近の口癖は「ちゃんと服を着なさい」だ。
風呂上りに下着だけで歩いていたり、見せブラとコートだけの上半身を見咎めては、眉間にしわを寄せる。
そのうち皺が取れなくなりそうだな、なんてダンテはこっそり思っている。
流石に直接言うことはないが。
こんなスラムだ、女らしくしろとは彼も言わない。
女性らしい恰好なんて、この街では襲って下さいと言っているようなものだ。
便利屋である以上強さを誇示しなければならないというのもあって、ダンテに女らしさを求めるようなことはしない。
だが、年頃の娘が半裸同然の恰好というのもまた襲って下さいと言っているようなものだと、兄はダンテに説教をする。
最近ダンテは、母親がいたらこんなだったかもしれないなと思うようになっていた。
言えば自分の見えないところで落ち込むのがわかっているので、何も言わないでいるが、正直女らしさという点だけならば、家事を全部担っているバージルの方が自分よりも女らしいのではないかとダンテは常々感じていた。
一応嫁入りした時のため、ビスケットやクッキーなんかは最低限作れるようにと習わされたこともある。
当然のように講師は兄だったが。
結果だけ言えば、キッチンは大破し修理するまでに半月を要した。
今はもっと簡単な、ゆで卵から始めて最近パンケーキの作り方まで教わった。
一度あんな惨状になったというのに料理を教えることを諦めない兄を、ダンテは素直に凄いと思う。
「料理なんて、兄貴が作ってくれればいいのになぁ」
甘え過ぎているのはわかっているが、どうしようもないのだ。
ダンテは、バージルに甘え、それが叶えられることで彼の生存を実感している節がある。
バージルもそれをわかっているから、時折口では言うものの、本気では咎めようとしないのだ。
バージルは早熟にも程がある子どもだった。
父母のいない代わりに、妹を甘やかして時に叱り必死で育て、いかがわしい店で用心棒紛いをして働いた。
そのせいか、彼は年齢に対して驚くほど淡白だ。
ダンテは兄が女と連れ立っているのを見たことは愚か、噂ですら聞いたことはない。
実はあんな顔してチェリーなんじゃないかとこっそり疑っている。
顔はいいのに、とは男女の差こそありはすれどもほぼ同じ顔のダンテが言えるセリフではない。
だが冷静な第三者の視点から見ても、バージルは十分いい男だろう。
顔良し、頭良し、フェミニストで性格もいい、体も細身ながら戦うために筋肉がついていて無駄な脂肪の片鱗もない、当然腕っ節は強い、家事はできるし、子供好き。
スラムに住んでいるのが不思議に思えるほどには、上等だ。
欠点を挙げるとすれば、酒に弱く手先が不器用なことと、完璧すぎて女が足踏みしてしまうくらいか。
代わりにダンテは頭はそんなによくないし家事はできないが、手先が器用でザルの大酒呑みだ。
だからきっちりした兄とだらしのない妹、二人でいて丁度いいのだ。
「あにきー」
風呂上りに髪の毛をタオルで拭いてもらいながら、ダンテはバージルにもたれかかった。
拭きにくさと服が濡れることに顔を顰めながらもバージルは黙々と手を動かす。
答えがなくてもかまわないとばかりにダンテは細い手で兄の頬に触れた。
「愛してんぜー」
「知っている」
色気もそっけもない兄の返事にダンテはただ子供のように笑った。
ダンテが女の子だと兄さんのデレ成分が増える。
まず殴らない、閻魔刀で斬らない殴打しない、幻影剣も出ない。
叱る時は口時々デコピンかチョップ、平手で頭パシンもあり。
ただ恋愛になるかどうかはわからない。