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ここは拍手返信や更新や小話が中心の女性向け二次創作ブログです。
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実家なう。
あれです、普通の更新よりブログで小話書いたほうが楽なので、再びdrrrトリップを書いてみました。
あ、咎狗トリップもそろそろ更新しないと。
ビトロいじめを始めたい。
今回は永遠の21歳児いじめを敢行してみた。
嫌いじゃないよ、好きでもないだけで。

「断る」
そうはっきり言い捨てられて、臨也は人の良さそうな顔に困った色を乗せた。
眉目秀麗を絵に描いたような顔がそのような表情をすると、誰でも言うことを聞いてしまいたくなるような気になる。
だが眼前の女性は臨也の顔を見て尚、むしろ嫌そうな顔すらして見せた。
「人間じゃない化け物退治を請け負ってくれるって聞いたんだけどなぁ?」
「だから言ってるんだ」
ターゲットと言って渡された写真をバローダは指で弾く。
ひらひらと、写真は木の葉のように宙を漂い、狙ったかのように臨也の膝に着地した。
色の付いた面を表にしたそれには、臨也の天敵であるバーテン服の男が写っている。
「人殺しは割に合わん」
平和島静雄を人と認めた彼女の言葉を、臨也は大げさな動作で否定する。
「何を言ってるんだか! 彼が人間? あんな理屈も通らないような暴力の塊が? 一般的に、人間は自販機を持ち上げて投げたり、標識を引っこ抜いたりできないと俺は思うよ!」
見下したような笑みに彼女は不快感を示した。
それは顔に浮かぶよりも早く鉄壁の理性に押し込められ、臨也は気づくこともできなかったのだが。
代わりにバローダはただ淡々と言葉だけを返す。
「両親家族血縁、平和島静雄の周りは全部が純粋な人間だった。突然変異で人間が化け物になることはない」
彼女はアイスブルーの瞳をきゅっと細める。
冷たい色は心中を見透かすように、臨也を射抜いて逃がさない。
臨也は冷たい威圧感に少しだけ身を強張らせ、椅子の上で足を組みなおした。
「人間が化け物と勝手に定義したものと、元々の化け物とは全く違う」
人間は異端を許せない生き物だ。
少しでも自分たちから外れれば排除しようとする。
思想、理念、民族、見掛け、少しの違いのためにどれだけの争いが行われてきただろうか。
平和島静雄という人間も、そうやって異端視された人間のひとりだ。
いや、わざと異端視されるように仕組んだ者がいるからこそ、彼は化け物と呼ばれざるをえないのだろう。
自販機を持ち上げて投げる?――それがどうした。
標識を地面から引っこ抜く?――それで?
バローダからすれば、そう驚くようなことではない。
ただの人間の身でありながらという点においては感嘆するが、ただそれだけだ。
自分でも可能なことを他人が行っていたからといって驚く者がいるだろうか。
ましてや、バローダやダンテが今まで相手にしてきたモノは、空を飛び地を駆け魔を振りまくモノたちである。
今更怪力を見せられても、どうとも反応ができないというのが実情だ。
「彼は人間だと?」
「最初からそう言っているだろう」
ふんと不機嫌そうに鼻を鳴らす臨也を一瞥して、バローダは身を翻した。
足音もなくスタスタと去っていく背に声がかかる。
「まだ話は終わってないんだけど」
「意味のない雑談には興味がない」
暗に用は済んだだろうと告げられ、臨也は口角を上げた。
四木に似たタイプの人間だが、矢霧波江にも少し似ている。
己の価値観でのみ動き、誰よりも冷静に状況を把握し冷徹に行動を行う。
手駒にできたならば、盤面はより面白くなるだろう。
「最後に一つ、聞いてもいい?」
ドアノブに手を掛けていた彼女が動きを止める。
顔だけで振り返り、視線が先を促す。
向けられた冷たい色に背筋を這うものを感じながら、臨也は不敵な表情を作って口を開いた。
「貴女が言う化け物ってさ、なに?」
さてと、彼女は少しだけ悩む。
化け物が何かということよりも、相手が何を意図してそれを尋ねてきたかということをだ。
悪魔のいないこの世界で、何をどう説明すべきか。
彼女が悪魔を化け物と呼ぶのは、依頼者がわかりやすいようにしているだけで、本心から悪魔を化け物扱いしたことはない。
なにせ自分の父親が悪魔なのだ、親を化け物扱いしたいとは思わない。
自分にとっての化け物はいない。
だが、恐らく依頼人に成り損ねた男が尋ねているのは、自分が言った化け物、つまり悪魔のことだろう。
だからバローダは一番シンプルでわかりやすい答えを示した。
「そうだな」
彼女は左腕を肩の位置まで真っ直ぐ横に持ち上げる。
臨也が見ている中、そのしなやかな白い腕は一瞬だけ青い外骨格のようなものに覆われた異形のモノへと変化した。
がたんと音を立てて、臨也が椅子から立ち上がる。
腕はすでに人間の女性のものへと戻っていたが、臨也は確かに変化を見た。
「こういうものだ」
平坦なバローダの声に、臨也は一種の感動を覚える。
拒絶されることを恐れ、震えを無理矢理に隠しているものならば彼は嗤っただろう。
異形を讃え、力を誇るものであれば彼は見下しただろう。
だが自らが化け物であると示した彼女は、あくまで平静だった。
装ったものではなく、当然のように、まるで朝になったら太陽が昇るということを子に教えたような口調ですらあった。
だが彼女は自らが異端と知っている。
その上で、いっそ清々しいまでの無関心を通して見せた。
そう、バローダのそれは無関心だ。
ここで臨也が何をしようと何を言おうと、一切興味関心を抱かない。
今ここで何をされても、バローダの心には少しも響かないだろう。
なにをされても痛くも痒くもない、揺るぎようのない絶対的強者ゆえの無関心だ。
「なるほどね、確かに化け物だ!」
くくくっと臨也が笑っている間にドアが開く。
高らかな哄笑をバックミュージックに、バローダは悠々と部屋を後にした。



ダンテさんの出番がないのは、出すと他のキャラの出番を食うからです。
多分仮の事務所でお留守番中。
臨也の喋り方がよくわからないので、精一杯うざくしてみたんですが、まだまだ足りない気がします。
要修行ですね。

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