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ここは拍手返信や更新や小話が中心の女性向け二次創作ブログです。
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drrr!!トリップはいったん此処で終了です。
希望が多いか、私の気が向くかすれば、続編も考えます。
さて、本編を書かなくては!
の前にレポートですねわかります。

普通に扱われたということで嬉しいのだろう。
話題の女性は、一通り説教をした後、「まあ、元気なのは悪いことではないしな。無茶は若いウチにしておけ」と静雄の頭を軽く撫でて去って行ったという。
彼女が座っていたベンチには、いつの間に買ったのか冷たいコーヒーと一枚のメモが置かれていた。
メモにはただ一言『長話に付き合わせた詫びだ。飲んでくれ』と流暢な字で書かれていた。
「なんつーか、大人だよな」
まだ開けていないコーヒーの缶を手で弄ぶ静雄を横目に、セルティはPDAを叩く。
『実はな、私も彼女とは今日あったばかりなんだ』
静雄は目を丸くし、ほー、と何とも気の抜けた声を発する。
「そりゃ、本当に偶然だな」
『だろう? だから、正直静雄の話にはびっくりした』
本当はびっくりどころの話ではないのだが、わざわざそれを言う必要もないだろうとセルティは手を休める。
なにせ出会い方があまりにも衝撃的過ぎた。
確かに目立つだろうとは思っていたが、チャットならまだしも、まさか身近な友人から同じ人物を語られるとは思ってもいなかった。
「そういえば日本語が上手かったな」
ほら、と差し出された白い紙切れには、なるほど美しい文字が並んでいる。
喋るだけならまだしも、書くのも上手いとは羨ましい限りだ。
『弟さんはまだ日本語があまり話せないらしい』
「へー、だから喋んなかったのかな」
『かもな』
PDAでは静雄に同意を示すセルティだったが、本当はそうでないことを知っていた。

男の真上に降ってきた上に刀まで突き刺した女性は、セルティの姿を確認するなり慌てて近寄った。
「すまない! 怪我はないか!?」
思わぬ展開に置いていかれているセルティは、とりあえず必死に頷いてPDAに文字を打ち込んだ。
『それより、後ろの彼は大丈夫なのか!!?』
自分よりも襲撃者を心配するセルティに、彼女は少しだけ目を丸くさせ、ほわりと微笑んだ。
背後を一顧だにしないまま、彼女はセルティに怪我がないかを確認する。
『あの……』
「あれの心配はしなくていい。その内勝手に起き上がる」
セルティとシューターに傷がないことを確認すると、彼女は改めてセルティの目の前で頭を下げた。
パニックに陥るセルティの前で彼女は淡々と語る。
「すまない。私の監督不足だ。女性を危険な目に合わせるなど……あの馬鹿にはよく言っておく」
そこで漸く彼女は後ろを見た。
セルティもつられて倒れているはずの男を視線で追う。
男は、立ち上がっていた。
自分の胸を貫いた刀をコンクリートに突き刺し、服の埃を払っている。
『は、え? 胸を貫かれてた、は?』
人間の構造上、胸を貫かれると心臓か肺、どちらかの重要な臓器に損傷を負うこととなる。
だが男は平然と服を整え、こちらへと歩み寄ってくる。
「Dante」
冷たい女性の声は異国の響きを伴って紡がれる。
『トリッシュのように人間界に適応している悪魔も駆除するつもりか? 馬鹿かお前は』
『悪かった。ついはしゃいじまった』
両手を上げて降参のポーズを取る男に、彼女は眉を顰める。
『彼女に謝れ』
『わかってるよ、姉貴』
二人の会話が止まると、くるりとダンテと呼ばれた男がセルティの方を向いた。
びくりと、過剰なまでに肩が震える。
なにせ相手は異様な力の持ち主だ。
首を破壊されない限り死ぬことはないと思うが、万が一ということはある。
出したままだった黒い鎌の柄を両手でしっかと握りしめ、セルティは男を見た。
『あー、そんなに怯えられるとやりづらいんだが……』
『自業自得だ馬鹿者』
指先で頬を掻く男の言葉を女が斬って捨てる。
「すまなかった」
少しのぎこちなさを伴った言葉は確かにセルティに届いた。
その後ろで腕を組んでいた女も、それを確認すると腕を解いた。
「私からも謝罪を。この度は弟がご迷惑をかけた」
真摯な女の声に、これ以上謝られても困ると思ったセルティは急いでPDAに文字を連ねた。
『兄弟なのか?』
「ああ、双子でな」
女の顔が優しく緩む。
なるほど、男女差による体格や身長の違いはあれど、よく見ると顔の造りが似ている。
何よりも、同じ銀の髪が双子だという事実を容易く納得させる。
だが纏う表情がかなり違う。
姉が一見冷たいようでひどく優しく笑むのに対し、弟は明るいようで何処か底知れぬ闇を抱えているように見える。
「ああ、自己紹介もまだだったな」
女はすっと何もない空間に手を差し伸べる。
何をするのかとセルティが見守っている中、伸ばされた手の傍から、何かが滲み出る。
黒い靄のようなものはその空間を歪めながら、ぞわぞわと形作られていく。
セルティが一歩引くと同時に、女の手の中には鞘に納められた一振りの刀があった。
「私はバローダ。これは愛刀の閻魔刀<ヤマト>だ」
バローダが手を離すと、刀は溶けるように消えていった。
驚くセルティにバローダは何のことはないと笑う。
「日本で刀を持ち歩いていると法に触れるからな。今は異次元に隠れさせている」
異次元というのが理解できなかったものの、自分の影のようなものかとセルティは納得した。
『隠れさせている』という言葉には少しの引っかかりを覚えたが、続けられた言葉にセルティは意識を戻した。
「こっちはダンテ、私の不祥の弟だ。まだ日本語がそう話せないので、私からの紹介で悪いな」
『英語で大丈夫だぞ』
セルティが差し出したPDAの文字に、バローダは退屈そうにしていた弟の方を向いて声をかける。
『英語でいいそうだ。自己紹介しておけ』
『……わかった』
ダンテは優雅な足取りでセルティの目の前に立つ。
中々の長身だ。
流石にサイモン程はないが、静雄かそれより少し高いくらいだろう。
目の前に立たれると、結構な威圧感がある。
『姉貴が紹介したとは思うが、ダンテだ。職業はデビルハンター』
――デビル、ハンター?
首を捻るセルティにダンテはわざとらしく首を振る。
『その様子じゃ、この世界には悪魔はいないってことか』
『悪魔、とは?』
PDAに、今度は英語で打ち出す。
見せられた画面に、仕方なさそうに首を横に振るとダンテは口を開く。
『魔界から現れては闇夜に人間を襲うイカレた奴らさ。それを始末するのが俺らの仕事ってわけだ』
――魔界? 何かのゲームか?
セルティが理解できていないのだとわかったのだろう。
ダンテは姉に視線で説明役を投げ渡した。
黙って見ていたバローダは、とりあえずと、セルティに声をかけた。
「少し時間はあるか?」
仕事から帰る途中だったので、時間ならまだある。
新羅にはメールしておけば大丈夫だろう。
あとで帰りが遅いと文句を言われるのは承知の上だが、疑問は晴らしたい。
その節を伝えると、バローダは軽く頷いた。
「そうか、ならもう少し時間を頂こう」
そう言うと、くるりとダンテを見た。
『とりあえず、結界を解け』
パリンパリンと硝子の割れるような音がして、セルティは今更ながらに追いつめられていたことを思い出し、どうにか無傷で出られたことに感動した。
その後適当な公園で二人は自分たちの身の上を語った。
曰く、この世界の人間ではなく、その身には半分悪魔の血が流れていると。
証拠は十分体験済みだったので、セルティは簡単に受け入れた。
セルティとダンテの間に降ってきたものも、バローダが魔力で作り出したものだと言う。
『此処で実演するわけにはいかないがな』
周囲を見回してバローダは笑った。
公園のベンチで首なしライダーと双子の外国人が話しているのはかなり人の目を引いているようだ。
他に知られないため、僅かな抵抗ではあるが、会話は全て英語で行われている。
知名度が高いとやっかいである。
代わりに、セルティも己の身上を語った。
デュラハンという妖精であり、アイルランドから自分の首を捜しに来たこと。
今は運び屋をしていて、闇医者と共に暮らしていることなど、包み隠さず。
二人は僅かに驚いたようだったが、それは悪魔でなく妖精であることに対してのようだった。
『妖精ね、この世界はそんなもんがいるんだな』
珍しそうにジロジロとセルティを見るダンテに教育的指導という名の鉄拳が降る。
頭を抱えたダンテは気にせず、女二人で会話を進める。
『そっちにはいないのか?』
『殆ど悪魔の仕業だな』
残りは悪戯か幻覚かだとバローダは苦く笑った。
どうしたのかとセルティが問えば、悪魔の仕業と乗り込んで行った先で何度かそのようなものに遭遇したと言う。
無駄足を踏まされるのはあまり楽しいものではないと彼女は笑う。
『代わりと言っては何だが、こちらには悪魔がいないようだしな』
ふむ、と何やら考え出したかと思うとバローダは立ち上がった。
抱えていたバッグから白い紙を取り出すと、ボールペンで書きこんでゆく。
そして完成したそれをセルティに渡した。
「そろそろ私たちはお暇することにしよう。それは連絡先だ」
渡されたそれは名刺らしい。
中央に印刷された店名と二人分の名前、その下に電話番号とメールアドレスが書きこまれている。
『さ、行くぞ』
『了解』
そのまま二人並んで去ってゆく。
セルティは遠ざかっていく二人を見ていたが、やがて片方がくるりとUターンして小走りで寄ってきた。
忘れ物かと自分の周囲を見回すセルティの前まで来たのはダンテだった。
何か落としたのかと、打ち込もうとするセルティを遮るように声が響く。
「本当は結構日本語も話せるんだが、話せないと思わせておいた方が姉貴が構ってくれるだろう? でもアンタはイイ奴っぽいし、それ、打ち込み直すの面倒そうだから教えておく」
いきなり流暢に日本語で話し始めたダンテに、セルティは本日何度目かの驚愕を顕わにした。
――それはアリなのか!!?
「バローダには秘密だぜ?」
悪戯が成功した子供のようににやりと笑うと、ダンテは軽く手を振って、姉が待つ人ごみの中へと入って行った。



実はノクマニ後っていう(笑)

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