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姉さまとダンテは幸せになれるのかなとか考えてちょっと鬱になりかけました。
社会的にはどうしても姉弟だから幸せとは言い難いけど、社会とか超越したダンテだったら何とかしてくれるんじゃないかなと思って止まない今日この頃です。
IF ver.2の小話が多いのは、もう幸せになれないとわかっているので安心して暗い話が書けるからです。
正直シリアス書き易いです。
あとこの二人の心情は掘り下げれば掘り下げるほど愛憎が渦巻いていて楽しいです。
二人の子供だというのに、ネロのなんと真っ当なことか。
ということで、この前の続きみたいなもの?
むしろオムニバス?
クレド編です。
社会的にはどうしても姉弟だから幸せとは言い難いけど、社会とか超越したダンテだったら何とかしてくれるんじゃないかなと思って止まない今日この頃です。
IF ver.2の小話が多いのは、もう幸せになれないとわかっているので安心して暗い話が書けるからです。
正直シリアス書き易いです。
あとこの二人の心情は掘り下げれば掘り下げるほど愛憎が渦巻いていて楽しいです。
二人の子供だというのに、ネロのなんと真っ当なことか。
ということで、この前の続きみたいなもの?
むしろオムニバス?
クレド編です。
クレドの初恋は十数年前、幼い頃の記憶の中に埋もれることなく、柔らかい光を放っている。
いつまでも翳ることなく、闇に浮かぶ灯火のように。
当時の彼はまだ弱くいずれ騎士団を背負うことになるなどとは知らず、もうすぐ産まれる兄弟を心待ちにするただの少年だった。
彼は森の中で『獣』にであった。
そう、彼女はまさしく『獣』だった。
クレドを襲った数多の悪魔を一刀の元に伏し、尚餓えたように敵を求めてアイスブルーの瞳を光らせていた。
助けてくれたのだと、少年が気づいた時にはもう彼女は身を翻し暗い木々の合間へと消えていた。
礼の言葉さえも言えなかった。
クレドの脳裏には冷たい刃の輝きと、刃に負けないほど鋭い青の視線だけが焼きついていた。
彼女の名を知ったのは二度目に出会ったときだった。
二度目の対面も、やはり森の中だった。
小屋を建て、そこに住み始めた彼女は子を孕んでいた。
クレドの母のように腹を丸くし、新しい命を産み出すための準備をしていた。
二度目に会った時にもやはりクレドには彼女が『獣』に見えた。
美しく気高い、手負いの『獣』だった。
アイスブルーは手酷く傷ついたような色をしていた。
二人は話をした。
クレドが話し、彼女は合いの手を入れながら聞いていた。
彼女は素晴らしい聞き手であり、口下手なクレドの言葉をするすると導き出した。
気づけばクレドは教団のことから家族のことや友人のことまで、すっかり話してしまっていた。
自分ばかり話していていいのだろうかと思う間さえないほど、彼女の誘導は巧みだった。
「あなたの名前は?」
すっかり日が暮れて、もう帰りなさいと言われたクレドは彼女に言った。
名前を尋ねる暇も無いほど話したことに、彼自身驚いていた。
「私はバローダ。さあ、もうお帰り」
そう言った彼女の顔は優しくて哀しかった。
彼は家に帰ってから、彼女のことを名前しか知らないことに気づいた。
それから彼は何度か彼女の家に通った。
彼女は優しかったが、クレドが頻繁に訪ねてくることにあまりいい顔はしなかった。
クレドは知らなかったのだ。
彼女が教団員でないことを。
「スパーダか」
彼女がその名を口にするときは、憧憬や尊敬、不思議と懐かしさのような感情が篭っていた。
その時分のクレドは彼女の懐かしむような声を、どうしてだか当然のことのように受け入れていた。
「あなたはスパーダの伝説を信じるか?」
「どういう意味で?」
「その、悪魔が人間を救うということを、だ」
両親共に魔剣教団に所属するクレドは、教団の教えを疑っていた。
魔剣教団を離脱するかと言われれば彼は慌てて首を横に振るだろう。
それは若者らしい反発心であり、教団という大きな組織に属しているという前提があるからこその軽口のようなものだった。
反面、街に現れる悪魔は自我を持たず、ただ人の血と破壊を求めて行動するだけだ。
クレドが見たことがある悪魔というのも、所詮低級悪魔に過ぎない。
自我や知性のある悪魔というものは果たして存在するのか?
その疑問は魔帝ムンドゥスやスパーダの存在を、ひいては魔剣教団の教えそのものに対する疑問なのだが、幼い彼の思考はそこに至らなかった。
「信じるさ」
何気なく、彼女は少年に答えた。
まるで当たり前のことを言うような、軽い口調だった。
「人を救う悪魔を、か?」
「ああ、信じるとも」
疑うクレドにおどけた仕草で彼女は何度も頷いた。
「彼の善意を信じなくては、救われないだろう?」
「まあ、そうだがな」
彼はそれを『スパーダを信じなければスパーダによって救われない』という意味だと解釈し、彼女の言葉を一般的な信者の意見として受け止めた。
クレドが彼女を意識し始めたのは、ネロが生まれてからだ。
ネロはクレドの妹よりも少し遅く産まれた。
母と同じ色彩を持って産まれたネロは、しかし彼女よりもずっと脆弱で儚い生き物のようだった。
「瞳の色はネロの方が少し濃いんだな」
赤ん坊の顔を覗き込むクレドに彼女は目を細めて答えた。
「父親に、似たんだろう」
そういえばと、クレドは彼女の口から赤ん坊の父親の話を聞いたことがないと思い出した。
だが想いを馳せるように眇められたアイスブルーの中には、彼女と出会った当初に感じたような、傷ついた、傷つけられた色を感じ取って、彼はどうしてもいつものように話の続きをせがむことができなかった。
罅の入ったアクアマリンに触れて、その傷を癒したいと思った。
それが最初で最期の恋の始まりだった。
「結局、私は彼女に想いを告げることさえできなかったな」
先に逝ってしまった美しい女性を想いながら、光に溶けゆくクレドは呟く。
彼女はいつまでも母であった。
ネロの母親であり、両親を亡くしたキリエの母代わりであり続けた。
あるいはクレドにとっても母親のような存在であったかもしれない。
けれどあの時、自分よりも強いはずの彼女を守りたいと思ったあの瞬間だけは、間違いようのないくらいに恋だったのだ。
そんな彼女もダンテの前に倒れ、穏やかな死に顔の彼女を運ぼうとしたその時に淡い光と化し、何も遺さずに消えてしまった。
一面に広がっていた流血の海でさえも、あとかたもなく。
きっと彼女は本物の天使だったのだ。
自分たちのように作られたものでなく、本物の。
神の御遣いであったというのならば、スパーダに対する懐かしげな態度にも頷ける。
「バローダ」
剣持て戦う彼女は凶悪で残虐で戦闘という悦楽に酔いしれながら、そしてなによりも、美しかった。
全てが光に溶けてゆく。
「私は、あなたを……」
「おい、お前姉貴を知ってんのか?」
造られた天使の呟きを拾い上げた悪魔が嗤った。
クレドの初恋は姉さまな話です。
ちょっと補足という名の蛇足。
「彼の善意を信じなくては~」の言葉の意味ですが、クレド視点なのであのように捉えています。
というか姉さまはわざとそういう風に捉えられるように言いました。
ということで本来の意味を説明します。
スパーダが善意を持たない生き物だとすれば、彼と人間の間に産まれた子供である自分たち双子の存在というものは彼にとってなんなのだろう。
もしかしたら新しい封印を施すものとして作っただけか、人間との間に子供を作れるかの実験かもしれない。
スパーダとエヴァは愛し合っていたように思えるが、それすらも演技だったのかもしれない。
それではあまりにも母と、自分たちが哀れだ。
なので、スパーダの善意を信じることで、彼が妻と子を愛してということを信じたい、ということです。
スパーダに関しては資料が殆どないので、実際鬼畜眼鏡だったのかアットホームパパだったのかわからんね。
いつまでも翳ることなく、闇に浮かぶ灯火のように。
当時の彼はまだ弱くいずれ騎士団を背負うことになるなどとは知らず、もうすぐ産まれる兄弟を心待ちにするただの少年だった。
彼は森の中で『獣』にであった。
そう、彼女はまさしく『獣』だった。
クレドを襲った数多の悪魔を一刀の元に伏し、尚餓えたように敵を求めてアイスブルーの瞳を光らせていた。
助けてくれたのだと、少年が気づいた時にはもう彼女は身を翻し暗い木々の合間へと消えていた。
礼の言葉さえも言えなかった。
クレドの脳裏には冷たい刃の輝きと、刃に負けないほど鋭い青の視線だけが焼きついていた。
彼女の名を知ったのは二度目に出会ったときだった。
二度目の対面も、やはり森の中だった。
小屋を建て、そこに住み始めた彼女は子を孕んでいた。
クレドの母のように腹を丸くし、新しい命を産み出すための準備をしていた。
二度目に会った時にもやはりクレドには彼女が『獣』に見えた。
美しく気高い、手負いの『獣』だった。
アイスブルーは手酷く傷ついたような色をしていた。
二人は話をした。
クレドが話し、彼女は合いの手を入れながら聞いていた。
彼女は素晴らしい聞き手であり、口下手なクレドの言葉をするすると導き出した。
気づけばクレドは教団のことから家族のことや友人のことまで、すっかり話してしまっていた。
自分ばかり話していていいのだろうかと思う間さえないほど、彼女の誘導は巧みだった。
「あなたの名前は?」
すっかり日が暮れて、もう帰りなさいと言われたクレドは彼女に言った。
名前を尋ねる暇も無いほど話したことに、彼自身驚いていた。
「私はバローダ。さあ、もうお帰り」
そう言った彼女の顔は優しくて哀しかった。
彼は家に帰ってから、彼女のことを名前しか知らないことに気づいた。
それから彼は何度か彼女の家に通った。
彼女は優しかったが、クレドが頻繁に訪ねてくることにあまりいい顔はしなかった。
クレドは知らなかったのだ。
彼女が教団員でないことを。
「スパーダか」
彼女がその名を口にするときは、憧憬や尊敬、不思議と懐かしさのような感情が篭っていた。
その時分のクレドは彼女の懐かしむような声を、どうしてだか当然のことのように受け入れていた。
「あなたはスパーダの伝説を信じるか?」
「どういう意味で?」
「その、悪魔が人間を救うということを、だ」
両親共に魔剣教団に所属するクレドは、教団の教えを疑っていた。
魔剣教団を離脱するかと言われれば彼は慌てて首を横に振るだろう。
それは若者らしい反発心であり、教団という大きな組織に属しているという前提があるからこその軽口のようなものだった。
反面、街に現れる悪魔は自我を持たず、ただ人の血と破壊を求めて行動するだけだ。
クレドが見たことがある悪魔というのも、所詮低級悪魔に過ぎない。
自我や知性のある悪魔というものは果たして存在するのか?
その疑問は魔帝ムンドゥスやスパーダの存在を、ひいては魔剣教団の教えそのものに対する疑問なのだが、幼い彼の思考はそこに至らなかった。
「信じるさ」
何気なく、彼女は少年に答えた。
まるで当たり前のことを言うような、軽い口調だった。
「人を救う悪魔を、か?」
「ああ、信じるとも」
疑うクレドにおどけた仕草で彼女は何度も頷いた。
「彼の善意を信じなくては、救われないだろう?」
「まあ、そうだがな」
彼はそれを『スパーダを信じなければスパーダによって救われない』という意味だと解釈し、彼女の言葉を一般的な信者の意見として受け止めた。
クレドが彼女を意識し始めたのは、ネロが生まれてからだ。
ネロはクレドの妹よりも少し遅く産まれた。
母と同じ色彩を持って産まれたネロは、しかし彼女よりもずっと脆弱で儚い生き物のようだった。
「瞳の色はネロの方が少し濃いんだな」
赤ん坊の顔を覗き込むクレドに彼女は目を細めて答えた。
「父親に、似たんだろう」
そういえばと、クレドは彼女の口から赤ん坊の父親の話を聞いたことがないと思い出した。
だが想いを馳せるように眇められたアイスブルーの中には、彼女と出会った当初に感じたような、傷ついた、傷つけられた色を感じ取って、彼はどうしてもいつものように話の続きをせがむことができなかった。
罅の入ったアクアマリンに触れて、その傷を癒したいと思った。
それが最初で最期の恋の始まりだった。
「結局、私は彼女に想いを告げることさえできなかったな」
先に逝ってしまった美しい女性を想いながら、光に溶けゆくクレドは呟く。
彼女はいつまでも母であった。
ネロの母親であり、両親を亡くしたキリエの母代わりであり続けた。
あるいはクレドにとっても母親のような存在であったかもしれない。
けれどあの時、自分よりも強いはずの彼女を守りたいと思ったあの瞬間だけは、間違いようのないくらいに恋だったのだ。
そんな彼女もダンテの前に倒れ、穏やかな死に顔の彼女を運ぼうとしたその時に淡い光と化し、何も遺さずに消えてしまった。
一面に広がっていた流血の海でさえも、あとかたもなく。
きっと彼女は本物の天使だったのだ。
自分たちのように作られたものでなく、本物の。
神の御遣いであったというのならば、スパーダに対する懐かしげな態度にも頷ける。
「バローダ」
剣持て戦う彼女は凶悪で残虐で戦闘という悦楽に酔いしれながら、そしてなによりも、美しかった。
全てが光に溶けてゆく。
「私は、あなたを……」
「おい、お前姉貴を知ってんのか?」
造られた天使の呟きを拾い上げた悪魔が嗤った。
クレドの初恋は姉さまな話です。
ちょっと補足という名の蛇足。
「彼の善意を信じなくては~」の言葉の意味ですが、クレド視点なのであのように捉えています。
というか姉さまはわざとそういう風に捉えられるように言いました。
ということで本来の意味を説明します。
スパーダが善意を持たない生き物だとすれば、彼と人間の間に産まれた子供である自分たち双子の存在というものは彼にとってなんなのだろう。
もしかしたら新しい封印を施すものとして作っただけか、人間との間に子供を作れるかの実験かもしれない。
スパーダとエヴァは愛し合っていたように思えるが、それすらも演技だったのかもしれない。
それではあまりにも母と、自分たちが哀れだ。
なので、スパーダの善意を信じることで、彼が妻と子を愛してということを信じたい、ということです。
スパーダに関しては資料が殆どないので、実際鬼畜眼鏡だったのかアットホームパパだったのかわからんね。
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