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書きますともさ。
あさきの「幸せを謳う詩」でver.2の姉さまです。
ネロが産まれて少したったくらいで、まだ壊れかけな感じ。
曲は


歌詞は聞き取れないと思いますので、先にぐぐってください。
普通に一発で聞き取れた貴女はあさきファンか耳が高性能過ぎです。
続きから文章。
相変わらずデフォルト名はバローダです。  


眠りについた赤子をベッドに預けて、バローダは椅子に深く座りこんだ。
木々の隙間から差す光が窓を通って家の中に入り込む。
彼女の耳が捉えるのは揺れる葉の音と、遠くで響く潮騒の音だ。
森と海に囲まれたフォルトゥナの地で、彼女は深く息を吸い込んだ。
思えば遠くへ来たものだ。
かつての住居があるスラム街を思い浮かべる度、バローダの胸が軋んだ音を立てる。
欲と血に塗れた、硝煙と鉄錆の臭いのする街だった。
得ようとすれば何でも手に入れることができる代わりに、足元にはいつも死が纏わりつくような街だ。
さらりと、よく眠っている我が子の頭をバローダは撫でる。
よくバローダを訪ねて来る少年は、ネロの髪も肌の色も母親似だと言った。
だが彼女から見れば、自分よりも片割れに似たとしか思えないのだ。
空の青を写したような瞳も、柔らかく跳ねる銀の髪も、抜けるように白い肌も、無邪気なその笑い方さえも。
目にかかりそうな髪を寄せて、頬に触れる。
柔らかい頬にふとバローダの顔が微かに緩んだ。
小さな掌に指を寄せると、強い力で握ってくる。

フラッシュバックする。

遠くで波が揺れている。

溢れ出る記憶の本流。

冷たい海の底から寄せては返し、寄せては返す。

『バローダ』としての始まり。

鼓動に似たテンポで揺れる水。

自分に笑いかけた幼い顔。

ああ、潮騒が聞こえる。

離そうとしない指先。

深みへ誘うような優しい波の音が。

彼女の中で重なってしまう。

それはあの日捨てたはずだった。
片割れを思い起こさせるような、大切だったはずの赤い赤い石と共に。
古い事務所の中に置いてきたはずだったのに。
目蓋を閉じれば昨日のように思い起こせる。
「許して……」
誰に許しを乞うたのかさえも、彼女にはわからない。
実の弟と子を成したことが罪だというならば、愛したことすらも裁かれなければならないのだろうか。
ただ愛すことさえも許されないのだろうか。
下腹部が疼く。
少し前まで子のいた部屋が。
孕んだ罪が此の子だというならば、此の子を愛しいと思う感情をどうすればいいのだろう。
罪人のようにバローダは項垂れる。
子に罪はない。
だが確かに実弟との間に成した此の子は罪の子なのだ。
許すということが罪を無くすことであれば、永遠に許されなくてもいい。
愛したことさえも罪というならば、いくらでも罰を背負おう。
愛していたのは本当。
愛しているのも本当。
けれど彼女は逃げ出した。
割り切ることも、共に奈落へ落ちることもできずに、姿を消すことを選んだ。
愛しているから共にいられなかった。
彼から与えられるそれが愛だと信じられなかったから。
彼を信じきることができなかったから。
 ダ ン テ 
縋るような囁きは啜り泣くような吐息の中に消えた。
罅割れた殻の中でにぃっと何かが笑う。
片割れのいない世界は、しかし何も変わらず美しい。
それだけが彼女の支えだった。



曲通りだとダンテが死んでることになるので、まあイメージソングくらいの扱いで。
書いている私も途中で何を書いているかよくわからなくなったので、フィーリングで読んでください。

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